勉強が難しいと言われる意匠法のオススメ書籍
※こちらの記事は弁理士志望者向けではありません。ご注意ください。
わたしは、意匠法を、図面によりクレームされた"構成"から権利を特定していく特許的アプローチを下地とした、形状の商標的機能(例えばAUDIのグリルの形を見ればメーカーが分かる)も保護を狙う、キメラ的な法律と考えています。
都合、企業内では意匠のみの担当者は育成しにくいといった特殊性が生じます。簡単な例を挙げると、文系出身者は設計図面が読めないからスタートラインに立てず、理系出身者は誤認混同のような法律的思考を不得手にする事が多いです。帰結として、これらの実務担当者の勉強に役立つ本は、本人のバックボーンにより決まる模様。
出願だけに限れば、既に公開された意匠公報と各種審査基準から習得できる場合もあり、本を読むより、まずこちらから始められるのも良いでしょう。どの国で出願する時も正直これが一番のオススメです。
以下のリストはこの前提を踏まえて、実務で十年ほど扱ってのおすすめリストになります。
図面表現・理解を不得手にする方へ
※解説が不要であれば、最新の登録公報の方が有用です。
「意匠の表現/吉田 親司」
要するに意匠公報に現れない解説付きの公報集みたいなものです。初学者はこっちから入ったほうがとっつきやすい気がします。あと見やすい図面が多いので、イメージがわくと思います。図書館で買ってもらいましょう。全部を読む本ではなく、都度必要なページだけをめくる事例集です。
意匠法(法律的解釈の)基礎
・軽めに読めるもの (325ページ):「意匠法/茶園 成樹」
阪大茶園先生の基礎シリーズ、全部いい本だけど意匠は他の基本書に癖があったりするので、意匠は殊更におすすめしてます。大学生は図書館で買ってもらいましょう。
・厚いもの (682ページ) 「意匠/高田忠」
現在の状況を理解するのに、創作説、混同説、修正混同説、そして旧法類似意匠制度を理解することが有用です。歴史的価値として名高い本書ですが、より深く意匠法を理解したい方にオススメです。
有斐閣のオンデマンド版があるので、無理して古本でそろえる必要はないですが、図書館で買ってもらえる可能性が低そう。